予防歯科

予防歯科・Cariologyという言葉がテレビから流れてくるようになりました。20年前にはほとんどなじみのなかった言葉です。時代は変わってきました。私ども歯科医師はもう歯を削るのを繰り返したくないのです。

なぜ歯科メンテナンスは必要なのでしょう?

この30年間、歯科医は一生懸命治療してきました。患者さんは一生懸命治療してきました。左は30年間のむし歯の本数と年齢の関係を表したものです。なにも変わっていないことがわかります。
歯科医師も患者さんもいったい何をしてきたのでしょう?どちらも懸命にやってきたはずなのに・・・。
歯は活性のない臓器です。治療は完全に削る前の状態に戻すことは出来ず、だた、形を治しただけ、決して「治った」ということではないのです。

修復物 再度のむし歯 脱落 神経の炎症 平均使用年数
レジン充填 5.1 3.3 5.6 5.2
インレー 5.8 4.1 5.3 5.4
鋳造クラウン 8.2 6.2 8.9 7.1
ブリッジ 10.1 6.2 7.5 8.0
ジャケット冠 6.4 5.0 4.0 5.9

私たちは毎日食事を摂ります。寒い日はお鍋が美味しいし、暑い日はアイスクリームが食べたくなりますよね。そんな温度の変化、咬むという刺激を歯は毎日受けています。建造物もかならずつなぎ目から隙間が空いてきます。歯の修復物も同様です。そのつなぎ目から崩壊していきます。

皮膚の表面には100個/?の細菌がいると言われています。一方、唾液1ml中には1億個の細菌がいることが判っています。崩壊した部分から細菌感染が生じることでさらに複雑になっていくのです。歯科治療の最前線は細菌との戦いであることがわかります。 時々治療していてびっくりすることがあります。まだ被せてあった冠がとれていないのに、中の歯はずいぶんと腐っていることがあるからです。もう少し遅かったらその歯を助けることは出来なかったでしょう。

こんなにひどい歯周病になる前にケアできていたら、もっと良い状態で維持させることが出来たかもしれないのに・・・と悔しい思いをすることもあります。

ご家族のために、社会のために時間を惜しんで一生懸命働いてきた方たちが、きちんとした口腔ケアを受けていらっしゃらなかった為に、入れ歯になり食べることにも不自由されるようになることが、残念でなりません。

もっと早い時期に適切な指導に来てくれていたら、お子様の歯はこんなにむし歯だらけにならなかったかもしれないのにと悲しい思いをすることもあります。

私どもは、もう歯を削ることを繰り返したくないのです。

アメリカと日本の歯科医院に通院している患者さんの意識調査の結果があります。

なぜ、歯科医院に通うのかの意識の違いがはっきりしています。

【日本の場合】

1位:歯が痛いので
2位:かぶせ物がとれた
3位:歯肉の腫れ
4位:歯のクリーニング

【アメリカの場合】

1位:歯のクリーニング(メンテナンスの為)
2位:むし歯の処置の為

アメリカでは年間所得が200万円以下の人達も約50%は定期的にメンテナンスのために歯科医院に通っているというデーターがあります。日本ではメンテナンスを受けている人達は、約2~3%であると言われています。

なぜ日本では歯科メンテナンスが定着しなかったのでしょう?

歯石を除去する際の治療費の国際比較を表したものです。日本は他の先進国に比べて10~20分の一の値段で治療費が抑えられていることがわかります。私たちは安価な治療を繰り返してきたということになります。治療を繰り返しているうちに歯を無くしてしまっているのです。今、日本の財政は非常に厳しくなってきています。日本の医療費は先進国中最低レベルですが、ますます切りつめられてくるでしょう。その時、歯科の医療費はどこまで認められるのでしょうか?もし、胃ガンの手術の医療費を保健負担にするのと、歯科の医療費を保健負担にするのとどちらかを選べと言われたら、皆様はどちらを選ばれるのでしょう・・・?

私どもにできること

やぎはしファミリー歯科の診療数値目標は、上記のデーターより出てきたものです。小さなお子様は1本もむし歯を作らず、正しい機能の獲得を目指すこと。残念ながら治療が必要になりいらっしゃった方々には、「治療の終わり」は「メンテナンスの始まり」であることをお伝えすること。皆様の健康をお守りするお手伝いが出来ることをこころから願っています。
一本でも多くの歯を残すことが確かに健康を維持することに繋がることが、様々な研究より明らかになっています。一本の歯を失うことは、その神経が支配していた脳の領域の機能を失うことです。人間が胎児としてお母さんのお腹の中に宿っているときに、一番最初に出来る臓器が口腔です。お口は命の始まりでることを私たちは忘れがちです。 最近では、お年を重ねている方は様々なお薬を服用していらっしゃいます。お薬の種類によっては感染により顎の骨の壊死を起こすものもあります。定期的なメンテナンスが欠かせないと言われています。
忙しく過ぎていく毎日の中で、ほんの少しの時間をお口の中のケアに割いてくださることを心からお願い致します。

ライフステージを考えた予防プログラム